10月18日~11月2日に開催された バンダイナムコスタジオ杯 | Siv3D ゲームジャム 2025 に参加してきました。
バンダイナムコスタジオ杯 | Siv3D ゲームジャム 2025 – connpass
このゲームジャムは、 C++ でゲーム等を開発するためのライブラリである Siv3D を使って 2 週間でゲーム制作をするというものです。
前回、第 1 回が 2023 年に開催され、その時の参加者は 70 人くらいでした。今回、最終的に 180 人ほどの参加者となり、Siv3D が盛り上がってきていて何よりです。
なんとか、ある程度の形まで作り上げたうえで提出することができ、ほっとしています。まだ制作の余韻が冷めやらぬうちに、今回の制作過程を思い出しながら記録しておこうと思います。
今回は「Blazing Spiceholics」という、レトロチックな見下ろし型 2D アクションパズルゲームを制作しました。
詳細は、次の作品紹介ページにまとめてあります。提出版のゲームをダウンロードできるので、ぜひ遊んでみてください。5 分くらいでクリアまでいけるかもしれません。
Blazing Spiceholics – バンダイナムコスタジオ杯 | Siv3D ゲームジャム 2025
~~~ 以下、制作記録。ネタバレ要素を含むかも ~~~
10/18(ゲームジャム開会)
このゲームジャムのルールとして、初日に発表されるテーマに沿ったゲームを作る必要があり、今回のテーマは「シン」でした。さてどうするか……買い物に出かけながらあれこれ考えを巡らせました。
シンといえば「振」「心」「深」……と、わりと何でもアリな感じのテーマです。私は「辛」を選択。「辛い(からい)」から連想される、炎、ドラゴン、赤い配色……などから何となくゲームの形が思い浮かび、まずはゲーム画面のレイアウトを決めるべく、お絵描きを始めました。
今回は見下ろし型アクションゲームにしようということで、1 タイル 16×16、基本解像度 240×192 という、これまた中途半端なサイズで作り始めました。
とうがらしを集め、ブロックや敵などを壊し、といった基本ルールについて考えながら、仮のマップ上をキャラが歩くところまでコーディングして、初日は終了。
10/19
自分で決めた事なのでしょうがないんですが、やはりアセットを用意するのが一番しんどい……うぐぐぐ、とうなりながら絵を追加。
この娘が吐く炎の画像は、以前サンプル(低解像度シーンの描画とブルーム効果)として使用させてもらった素晴らしい外部アセットがあるので、またそれを使わせてもらうことに。
Fire Animation – Pixel Art FX Sprites 🔥 by brullov
あと、仮マップ状態をなんとかしたい、ということで、これも以前サンプルとして記事を書いてあった Tiled Map Editor のマップとタイルセットを読み込む を流用して、マップエディタ Tiled でステージデザインができるように。
普段は、敵の出現タイミングを CSV で用意するなどしていたのですが、Tiled で敵配置もやればいいじゃんとなり、今回はステージデザイン関係は Tiled での編集で完結することになりました。このタイミングでステージ関連機能を実装できたことで、後々の調整にかなり貢献したと思います。
10/20
ゲームジャム製作期間外に作っていた、オプション画面シーン・入力設定画面シーンを、今回のゲームの解像度に合わせてレイアウト変更して追加。特に入力設定は、前回のゲームジャムで時間が足りずに追加できなかった機能なので、今回は入れたいという思いがありました。
敵キャラはなにがいいかな……で、なんとなくひよこの画像を追加。ダークひよこと命名。結局最後までメインの敵キャラに。
10/21
敵を倒すとアイテムが出るとか、敵に触れるとノックバックして無敵になる、を実装。無敵時間は長めがよいですね。
10/22
なんとなくキャラ絵を落書き。ゲームに使うつもりはあまりなかったのですが、タイトル画面に貼ってみたら、意外といいのでは?となるなど。結果として、最後までこの絵を使うことになったのでした。
細かい部分では、鍵を取ってクリア判定、ステージクリア!の表示、ステージのスクロールなどを実装。
10/23
ゲージマックス時に起こる効果の実装と、いくつかのステージ追加。
10/24
だんだんと疲れを自覚。見た目の調整や、デバッグモードの整備をしていました。
10/25
中間発表に備えて、動画を作成。
このあたりから、このゲームはただのアクションじゃなくてパズル色を押し出した方がいいな、と思い始めました。というのも、炎を吐いてアイテムを取るというアクションのみで、どのように難易度調整をする? 敵の挙動や種類、アイテムを追加? と考え始めた時に、なかなかこれだ!というものが思い浮かばず。いや、実は最初からパズルゲームにしたくて、それ以外の選択肢が考えられなかったのかもしれません。その辺は今となってはもう思い出せないのですが、とにかくアクションパズルで、超簡単なのを作って、だれでも最後までたどり着けるようにしよう!と思いました。
で、パズルとして成立しそうな要素として、追加するとしたら何が必要なのか? ごちゃごちゃ考えた結果、アイテムを引き寄せるのが面白そうでは? と思い至りました。敵を倒した後、ゲージが残っていないとそのアイテムを取れない、という状況が作れそうだな、みたいな。
あとは、炎だけが通過できるブロック(トゲ床)も追加。これのおかげで「フライングダークひよこ」が誕生することに。
スコア要素は思い切って削除。空いた画面上部には、ステージのエリア名を表示するようにしてみました。
また、ステージ制のパズルなのだから、ゲームオーバーもなしで、何回もやり直せるようにしよう……ってことでポーズメニューを実装、リトライ機能を追加。このちょっとした機能追加の副次効果で、地味に開発効率も上がりました。
そのほかは、ゲージ量での攻撃射程変更、ブロックの種類追加など。
10/26
数ステージ区切りの 4 エリアくらいの構成で、草原→草原の奥→雪山、みたいな。エリア名称と、エリアに応じた地面、雪エリアでは、雪を降らせる。たくさんのパーティクルは、標準の Circle よりはちゃんと画像を用意した方が、ジャギーのないパリッとした絵になる。
クリア時のメニューを実装。ポーズメニューとやることが一緒なので、あのとき実装しておけばよかった。
10/27
敵やブロック破壊時に出る煙がイマイチだったので、ちゃんとドットをうちました。あとはパワーアップ表示や、敵がスポーンする前の警告表示(!マーク)、現在エリアを表す左上のヘッダ画像を追加。
10/28
ちょっとした隠し要素というか蒐集要素のあれこれを追加。
10/29~30
感動のエンディングを実装。
あとは各ステージのクリア時間を閲覧するための Records シーンや、スキャンラインエフェクトなどを追加。スキャンラインのシェーダは、前回の The HAND でも使っておりました。
10/31
出張の帰り、空港のロビーで作業。公衆の面前であまりゲーム画面を出す勇気はなく、Readme などのドキュメントを書いたり。
11/1
最終日の前日。今日でほぼすべてを終わらせる必要があります。提出版の動画やプレゼン資料は明日やると決めて、最終調整。
ラフのままだったタイトル画面のキャラ絵の清書、タイトル画面に降らせるとうがらしのドット絵、オプション画面などをにぎやかに、exeアイコン作成などをして、提出版のリリースとなりました。
ゲームジャムを終えて
正確にはまだ現時点(2025/11/3)では審査・結果発表がまだなので終わってないのですが、とりあえず提出と作品発表をし終えまして。
このゲームジャム、バンダイナムコさん的には主にリクルート目的で協賛されていると思うのですね。そのうえで、私のような社会人も参加可能となっている。学生さんたちのイベントに混ぜてもらっているという感覚ではあります。それはそれとして、参加するなら全力でやる!という気持ちで挑みました。その結果、思い描いていたくらいのところまで制作物を持って行くことができ、久しぶりに自分の制作タイトルが 1 つ増えて、非常に達成感があります。
また、参加者の方々の色々なアイデアや試行錯誤を見ることができて刺激的だったし、コメントをし合うことができて楽しかったです。プラットフォームが Cosense というのが良いですね。非常に濃密な二週間を過ごすことができました。参加者&運営の方々は大変お疲れさまでした。
今後ですが、この作品、我ながら超コンパクトかつ綺麗にまとまったと思っていて、もっとたくさんの人にプレイしてみてもらいたいなあという気持ちがあります。なので、少しアップデートと調整をした後、ふりーむ とか、itch.io とか、はたまた某プラットフォーム? まだわからないですが、どこかしらで公開してみたいなあ、と思っています……今のところは。



















